== Kモデルのカムシャフト修理 ==
カムシャフト軸が磨耗していました。
軸が磨耗すると、そこを支えるブッシュとのクリアランスが大きくなります。カムギアのバックラッシュが大きくなり、カムギアの欠けや割れ、カムローブのかじり、タペットローラーの磨耗につながります。
Kモデルの場合、「はい交換」と言う具合に簡単におかわりパーツが出てこない。希少モデルを維持する事の難しいところです。うちではこの場合、サイドバルブWL用リプレイスカムシャフト軸を使い加工して使用します。
今回一本だけ、カムシャフトの穴(カムにある軸穴)がでかくなっていました。過去に何かあったんでしょう。太いシャフトが入っていました。修理方法をいろいろ考えたのですが、シャフトを作るのはコストがかかり過ぎる。迷った結果、新品リプレイス軸に真鍮ロウでロウ付けし、穴に合わせて研磨・圧入する事にしました。ブッシュも軸に合わせて、交換・サイズ合わせ(研磨)しました。
修理というのはいろいろな方法があると思いますが、僕が一番に考えるのはコストと精度のバランスです。
ほんとうに精度を出して、しっかりとしたモノがつくりたければシャフトを削りだしてもらい熱処理をして組み付ければいいと思うのですが、それだと一本あたりの請求額がとんでもない金額になってしまう。
なので、今僕に考えられる一番の方法はこの修理方法となりました。
今回、カム山やカムギアの程度が良かったのでこれだけの修理で済みました。カム山がかじっていたりする場合は、ちょっと大変です。そういう意味で今回のエンジンは幸運でした。
以前、カム山に虫食いがある車両があり( Kの場合は、だいたい多かれ少なかれ、虫食いがあります。)、虫食いの部分だけ溶接して研磨したことがあります。その修理が良い事なのか悪い事なのかわからないですが、虫食いの局所的な突起にタペットローラーが乗ると、そこから虫食いの進行が悪化するのではないかと思いほおって置くことができませんでした。しばらくして別の機会に開けて確認した時、その部分はまだ大丈夫でした。
ギアが欠けていた場合、ちょっとだけなら溶接してしまいますが、一山無ければ別のカムを探します。
数少ないですが、僕が開けたほぼ全てのKモデルが今回と同じところが磨耗していました。誰も対策をしていないものがほとんどで、今回のは対策済みでしたが、また同じように磨耗していました。このまま対策なしで乗り続けられれば、近い将来Kモデルは生き絶えてしまうかもしれません。
希少モデルなので、大事にしながらも、皆さん末永く楽しみたいですよね。僕にはおかわりパーツを作って売るエネルギーはないですが、あるもの工夫して、Kの乗り味を残したいと思います。
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